@師団軽歩大隊(軽歩兵大隊)
師団軽歩大隊は、師団に所属する師団直轄の軽歩大隊である。軽歩大隊は、軽歩教導指導局ではなく、師団の作戦統制を受ける部隊である。前方師団の場合、全て軽歩大隊が編成されており、後方師団にも相当数の部隊に軽歩大隊が編成されているという。任務は、軽歩旅団と非常に類似しているが、前線から15〜30km内側でのみ作戦を行う点が軽歩旅団との最も大きな差異点である。攻撃目標も、軽歩旅団と類似するが、軽歩旅団よりは下級梯隊目標物を主として攻撃する。例を取ると、軽歩旅団が軍、軍団司令部を襲撃するとすれば、軽歩大隊は、師団、連隊、大隊司令部を襲撃するやり方である。
※80年代資料(North Korea Special Forces
89年版:以下NKSF89)には、前方16個師団と後方19個師団等に所属する計36個軽歩大隊が存在したという。当時の編制としては、1個大隊に軽歩兵中隊6個、1個中隊に軽歩兵小隊4個体制で編制されたという。
A師団偵察中隊/連隊偵察小隊
北朝鮮の師団にも、偵察中隊が編成されている。これら師団所属偵察中隊や、偵察小隊が軍団直属の偵察大隊のように偵察局の統制を受ける偵察局系列の部隊なのかは、明らかではない点がある。
※内外通信資料(96年)資料によれば、北朝鮮の偵察兵教育は、年間34週、週48時間で、総教育時間は約1,362時間で、野営訓練も年2回以上、約1〜2ヶ月間進行するものと知られている。この教育では、休戦線突破訓練、偵探浸透、宿営、
ビート(秘密アジト)構築等の野外訓練と無電、工兵、射撃、地形学、衛生学、水泳訓練等の一般訓練を実施している。これらの教育は、約10%だけが室内講義で、残りは、実習に割り当てられている。また、実習訓練中、約80%以上は、夜間訓練として実施されている。
B師団民警大隊/民警中隊
民警中隊は、軍事分界線内外の警備責任を民事警察が担当するようにした休戦協定規定に従い設置された中隊で、軍事分界線警戒勤務を担当する部隊である。民警大隊又は民警中隊の規模及び配置形態に対する説明は、資料によって差異が甚だしい。北朝鮮の民警中隊は、韓国のGP投入部隊とは異なり、特別に選抜され、訓練された準特殊部隊に該当する戦力を持っている。特に、北朝鮮前方師団の民警中隊の戦力が既存師団所属固有部隊とは別途に編成されているため、1個歩兵大隊程度の戦力が事実上追加されている点が特徴である。
対南浸透要員に対するDMZ近距離護送任務も、民警中隊が担当している。訓練課程において、前線克服、縦深浸透、地雷/鉄条網その他の人口障害物の設置及び除去訓練を集中的に受けているため、前線突破能力も相当な
方である。帰順する北朝鮮軍士兵が休戦線を比較的安全に通過する場合が多いが、これは、帰順兵士の相当数が民警中隊所属兵力であるためである。
※80年代初めの資料によれば、休戦線に位置する一線師団にだけ民警隊があり、師団により、6〜12個中隊程度を保有しているという。これとは異なり、NKSF98によれば、計10個民警大体が1、2、5軍団所属前方師団に1個民警大隊ずつ
循環で配属勤務させているという。前者は、民警大隊が師団が自主的に編成しているという話で、後者は、別途の民警大隊Poolが編成されており、各師団には、
単に循環配置させるだけだという説明である。最近10余年間、帰順した北朝鮮兵士の原所属部隊をマスコミ報道内容を土台に調査してみれば、NKSFに出てくる説明と相違する点があるようである。
最終更新日:2003/05/25